『今銀行員ですが、事業再生業界って選択肢としてどうですか?』
近年事業再生へのニーズの高まりから次のキャリアとして事業再生に進む人が増えてきています。
事業再生だけでなく、つぶしが効くとされるコンサル業界を狙う人が増えていますよね!

事業再生コンサルと言えば、激務とかブラックとかネットでよくみました…せっかく銀行員になったのに、そこで病んだら元も子もないですよ






実際激務だからね。メガバンクから実際に事業再生コンサルタントとして働いた私が説明するよ!
先に結論から申し上げると
業務は体力的にも精神的にもハードだが、短期間で飛躍的に成長、キャリアアップを可能するためオススメです
銀行員ではなかなか実現できないキャリアをつくることが可能です。
筆者の経歴
◇メガバンクへ入行。都内店へ配属。法人担当として勤務。法人部門にて優秀賞を獲得。
◇コロナ渦を契機に少数精鋭の事業再生コンサルティングファームへ転職。事業財務DD、再生計画策定に従事。
約2年間在籍。製造業や小売業などの計10社以上の再生支援を実施。
◇某大手事業会社へ入社。経営企画として様々な事業の意思決定に携わる。
事業再生ってそもそもどんなことをやるんだっけ??
という方は以下のリンクを参照してくださいね!
http://www.tukky.online/?p=969銀行員とのギャップ






銀行の取引先を再生させていくんですよね?我々となにが違うんですか?事業再生コンサルとして銀行員とやることって変わりますか?






良い質問だね!確かに銀行員も再生企業とやり取りをしているだろうからね。何が違うのか下で説明するよ!
顧客との距離
これは債権者と第三者という立場の違いです。
基本的に顧客は銀行は債権者であり、顧客側からすれば融資条件に関係する情報について全ては言えないことも多分にあります。
一方再生コンサルタントはすべての情報の開示を求めます。会社内部の管理資料や社長の個人資産もすべて対象です。
それらの管理資料を短期間でインプットし、顧客と同じ情報量をもって経営課題について真剣に向き合っていくので、顧客から「銀行には言えないんだけど……」
と言った形で様々な相談をされます。
この距離間は銀行員ではなかなか難しいと思います。
まさに企業の中に入り込み、二人三脚で事業を再建していこうというような距離間ですね。
再生企業に対する価値観






再生企業ってなかなか収益案件ないので、だんだん行かなくなるんですよね…






再生企業は格付業務でも正常先に比べて、手間がかかるよね。
銀行員の方であれば分かると思いますが、再生企業の優先順位はとても低いですよね。
収益目標を課されている銀行員からすれば、手数料をとれるファイナンスを実行したいです。
再生企業にはそもそもお金を貸すことが難しいので、時間がかかる割に、収益は稼げないという割に合わない仕事となってしまいます。






「晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」ドラマで聞いたようなセリフですが、本当に銀行はやってますよね。






銀行も営利目的で運営されている以上は、仕方ないんだよね。
でも業績が厳しい先を救いたいという気持ちをもった人は多いよ!
銀行員は再生企業を稼げない先と認識し、リスク回避のためにも訪問数を押さえる人もいます。
ただ、再生コンサルでは再生企業が顧客になるので、経営改善のため全力で支援することができます。






再生企業へ満足に支援できず、やるせない気持ちを抱えた方は、再生コンサルタントの仕事はやりがいを持てるはずです!
働き方






銀行員は朝も早いし、忙しいです。再生コンサルでも余裕でやれますよね!






確かに銀行員はとても忙しい。だが再生コンサルと忙しさの質がまた違うんだ。下で紹介するよ!
時間面
働く時間は銀行員以上に長いです。銀行は基本的に上場企業なので、残業45時間以内が基本だと思います。
対して私が属していた企業が非上場だったのもあると思いますが、基本的に100時間くらいは毎月残業していました。
業務量
銀行では50社近く担当を持ったりするので、それぞれから飛んでくる業務に逐一対応するのが大変です。
頭の切り替えもとても多いので、短い時間でどれだけ事務を捌けるかが重要です。
事務を短い時間で捌き、外訪にいく時間をどれだけ確保できるかという意識でバタバタするケースが多いと思います。
再生コンサルは1社のみを集中的にみていくため、頭の切り替えはそこまで発生しない点では銀行員より楽かもしれません。
大変なのは、1社をみていく上で取り扱うデータ量が銀行員の比ではないことです。
具体的には
- 仕訳日記帳5~10年分
- 売上高集計表5~10年分
- 給与支払実績表5~10年分
- 製造日報5年分
- 財務デューデリジェンスに必要な各種証憑 等々
上記以外にも資料を大量にもらって分析をしていきます
銀行員は決算書や試算表、受注予定表などの一部の資料をもらってそれで稟議を書くケースがほとんどかと思うので、情報量が全然違いますね。
それだけのデータを取り扱うため残業時間がどうしても多くなってしまいがちです。
ただ、銀行員ほど毎日切羽詰まった状況にはならないため、銀行員時代よりもじっくり分析業務に集中できるはずです
そういった部分で、銀行員ではなかなか分析できなかったことが深く見ていけるので、そういった分析をもっとしたい!という方は楽しいかもしれません。
スキル面






銀行員ですし、財務分析は任せてください!






その意気込みは買おう!でもね、分析に入るまでの下準備がとても大変なんだ……
Excelが超大事
先ほど上で説明した仕訳日記帳や売上高集計表の会社管理資料をすべて分析できる形にデータベース化をする必要があります。
それをするためにはExcelを自在に操れないといけません。
逆に言えば、Excelができないともはや分析業務にすら入れないという状況なのです。
銀行員から事業再生コンサルにきた方はまずExcelでかなり苦労します。いくら分析力があってもすぐには戦力になれないということです。
具体的には、index×match関数やピボットテーブルを目をつむってでもできますか?ということです。






ちょっと、とぅっきーさん目をつむってはさすがに盛ってますよね?






ごめん盛ったwでもね、息を吸うように勝手に手が動くくらいの感覚になることが必要だよ
エクセルにまったく自信がない人は下記で紹介している参考書をみてみて欲しい。どれも現場でとっても役にたったものです




英語があまり役に立たなくなる
私が銀行にいたころはTOIEC800点以上必要など、英語が出世の一つの条件でした。
英語ができれば、人事から評価され、有利に異動できるというのは通説でした。
メガバンクではこの流れは加速していると思います。
しかし、事業再生コンサルは現在国内向け案件が多く英語を活用する機会はかなり限定されます。
当然BIG4などへ転職する場合は評価されると思いますが、そうではない日系ファームでは英語が人事評価に大きく影響することはありません。
海外現地法人があった場合は現場でかなり重宝されますが。必要なのは言語力というより、やはり分析力だからです。






英語はもともと苦手なんで、別にいいですけどね。へへ!






日本企業でも海外に拠点持っている先は多いよ。海外現地法人の決算書とか読むときには最低限の読みはできないとだめです。






……TOIEC勉強します
使用する機会は減少しますが、たまに決算書とか文章を読む機会はあるので、最低限くらいは勉強しておきましょう。
簿記2級程度の知識が必須
再生コンサルはファイナンスのプロです。ある取引が起きたら、PL・BSにどのような影響を与えるのかをイメージできなければなりません。
そこで最低限必要な知識は簿記2級です。






簿記2級をしっかり押さえていれば、難しい論点以外は実はかなりカバーできます。
多くの銀行員は日常業務で仕訳を意識することがないため、苦手の人が多いです。
しかし、再生コンサルでは仕訳ベースで会話をすることが多い(同僚に公認会計士が多いため)ので必須です。
また顧客とのやり取りで、当然経理の方からヒアリングする機会はとても多いです。
そこで簿記2級程度の知識がないと、顧客から見れば、かなり不安に思われます。






この人に会社の重要な再生をお任せしても大丈夫かしら?
しっかりと安心して、スムーズにヒアリングするためにも、簿記2級の取得はマストと考えて間違いないです。
こちらに簿記2級がなぜ重要かについて記載しておりますので、参考にしてください
http://www.tukky.online/?p=189元銀行員の声
再生コンサルに入った元銀行員の方々の声をネットから集めてみました。






かなり実力不足に最初は悩まされた一方で、確かな実力アップを感じている方が多いですね!
苦労をしている声
- エクセルができなさすぎて、仕事がまったく進まない
- パワポも触ったことなかったため、連日徹夜の仕事になってしまった。
- 労働時間が長くなり、体力が持たないことがあった
- 財務分析スキルがまったくないことに気が付いた
- 会計知識をもっとつけないと、チームメンバーの会話についていけない
成長を感じる声
- エクセルスキルが身に付き、分析業務が早くなったことで、再生の方法について考える時間が増えた
- 会計知識が自然と身に付き、会計士とのやり取りでも問題なくできるようになった
- 財務モデリングができるようになり、財務3表を自力で作成できるようになった。
- 顧客が気が付かなかった業績悪化の真の理由に気が付き、それをアドバイスできた
- 自分が作成したレポートが銀行から評価され、新しい仕事をもらえた
みなさん最初はかなり苦労されたようですが、頑張った分スキルが身についているようです。
事業再生コンサルがアリな理由
ここまでかなり引っ張りましたね。大変お待たせしました。
結論事業再生コンサルへの転職はアリです。






なんか大変そうですけどね。でも確かに業績の悪い企業を救うのはやりがいありそうです






そうだね。当然やりがいもあるんだけど、今回はキャリアという面でアリな理由を説明するよ!
アリな理由を一言で言えば、次のキャリアの選択肢を多く持てることです。
事業再生コンサルの経験をすることでもっとも強みとなる部分は
- ファイナンススキル
- 仮説思考力
- ハードワーク力
- コミュニケーション能力(利害関係者調整等)
この部分だと思います。これらの部分をかなり尖らせることができます。どれも一日中考えることなので、自然と身に付きます。
もちろんこれ以外にもExcelやPowerpointなどのハードスキルが高いレベルで身に付くことは言うまでもありません。
コミュニケーション能力については数多くの銀行・公的機関・再生企業、株主等のさまざまな人を巻き込んで行います。
そこの調整能力が身に付きます。
これだけのスキルを高いレベルで身に付けることにより、どこへ行っても重宝されます。
銀行の人事異動でドギマギする必要はないのです。
なぜなら自分でやりたいことを選べるだけのスキルが身についているのですから
そして銀行員の方ですでに転職活動をしてみた人はわかると思いますが、事業会社でいきなり経営企画ポジションなどで採用してくれる会社はありません。
ただの銀行員であれば、むしろ法人営業経験を評価して、事業会社の営業担当に回されます。
成長している企業等では特にそうです。つまり業績拡大のためのソルジャー採用にもってこいの対象ということです。
これは実際に転職の面接を受けてみると分かります。
しかし、事業再生を経験して、ファイナンススキルや利害関係者の調整能力を備えている場合は、営業担当ではなく、経営企画等の意志決定をするポジションに入れます。
市場価値をあげやすいポジションを経験することで正のスパイラルに入っていくことが期待できます。
数値管理ができて、経営層とのやり取りもできるという、ハードスキル・ソフトスキルを事業再生コンサルで磨いたことによる成果です。
事業再生コンサルには向かない人の特徴
ワークライフバランスを意識する人
残念ですが、事業再生コンサルは激務です。
確実にプライベートの時間は減ることを覚悟しましょう!






私は時々土日も捨てて働いていましたね、、、
銀行では、土日は少なくとも休めていたと思いますが、同じノリでくるとミスマッチとなるので、そこは覚悟しましょう!
ストレス耐性がない人
労働時間もながく、顧客の状況は厳しいです。
クライアント先に常駐する場合だと、いつもと環境も異なります。
その中で体調管理をきちんと行い、精神的にもタフでいることが求められます。
銀行との利害調整もかなり気を使います。
この仕事はストレスポイントが多いため、ストレス耐性がある程度ないと持たないようなハードな仕事であることを覚悟しておきましょう!






散々脅していますが、上2つがクリアできるなら、やっていけます!
ストレス耐性だけが取り柄でも、地道に努力すれば実る業界なので、安心してくださいね
- そもそも自分にあった仕事ってなんだろう?
- 次のキャリアを今のうちに見定めておきたい
という方は若手ハイクラス向け転職アプリであるVIEWで、3分で適職診断ができます!
日本初AIキャリアシミュレーションによって、自分がどんな仕事に向いているかをフラットに確かめることができます!
もちろん無料です






私はベンチャーキャピタリストの適性があると出ました!
事業再生コンサルを経て、現在ではベンチャー投資をやっていますが、今のところ順調にやれています笑
自分の適性を把握した上で、
「自分の目指す職種にいくためには、どんなスキルが必要か」
を把握することでよりあなたの目指す方向が明らかになるでしょう。
事業再生コンサルとして押さえておくべき基本知識
以下の記事を参考にしてください。事業再生コンサルタントが重宝している本です。
しっかり読んで基礎を押さえれば、実務で役に立ちます。
知識の無いコンサルタントは、馬鹿にされるので、学ぶ必要があります。




事業再生コンサルタントを目指す方へ
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他社サービスに満足できずコトラ様の利用を開始しました。初回のWEB面談はとても印象がよく 、この人に任せたいと初対面で思えるほど丁寧な対応でした。その後も、要望にあった求人の提案や対応の速さなど、これほど頼りになるエージェントはいないと思いました。— コトラ @プロフェッショナル人材 (@kotora_co_jp) February 17, 2023
【転職に成功したコトラ利用者の声】
最初に面談した時に数十社の求人をご紹介して頂き、同時進行で選考を進めていくことができました。また、面接前に経歴や志望動機の共有、面接後にはフォローもしていただけるので、圧倒的な信頼をおいて選考に臨めました。— コトラ @プロフェッショナル人材 (@kotora_co_jp) February 17, 2023
制裁コンサルとして活躍するための要素についてまとめた記事もありますので、参考にしてみてください!




再生コンサルを初めてやる方は、まず事業再生の実務についてインプットしておくことが必要です。
下記リンクから筆者が再生コンサルとして働く際に、重宝していた本を紹介しています。
会社側も推奨している本もあるので、専門家からみても良質な本です。



