事業再生コンサルに興味がある方の中には
・事業再生は事業と財務の両方が見れるから経営スキル付きそう!
・事業再生コンサルから経営者になって活躍したい!
のような話を転職エージェントからや、事業再生企業の無料ウェビナーで聞いたことがあると思います。
では実際の経験者からみたこの疑問への答えはどうなのか?
結論から申し上げると
経営管理や事業推進の能力は身につくが、事業成長を実現する経営スキルは身につかない
これが私の答えです。

いやいや事業再生コンサルタントの方と一緒に成長する事業計画を書きましたよ!






再生コンサルタントも優秀なので、言っていることは間違っていないことは多いけど、経営者にそのままなれるかというと疑問だね
この記事では、事業再生コンサルタントを経験しても、事業経営に精通できない理由について解説します!
近年、コロナ融資の影響もあり、事業再生に対し、国全体での興味関心が高まっています。
2024年1月に、全国銀行協会が「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の改定版を公表しました。
このガイドラインは、中小企業の事業再生に向けた取り組みの方向性をまとめたものです。改定版では、中小企業者と金融機関等が共通の認識のもとで事業再生に取り組むことの重要性が強調されています
事業再生についてキャッチアップしたい人はチェックしておきましょう
筆者の経歴
- メガバンクへ入行。都内店へ配属。法人担当として勤務。法人部門にて優秀賞を獲得。
- コロナ渦を契機に事業再生コンサルティングファームへ転職。事業財務DD、再生計画策定に従事。
- 製造業や小売業などの計10社以上の再生支援を実施。
- 某大手事業会社へ入社。経営企画としてM&Aや様々な事業の意思決定に携わる。
- リスキリング企業の代表取締役
- Chat GPTの活用に関する本を出版(2024/7)
私は再生コンサルでの修行がとてもキャリアにおいて大きく、その後実際に起業し事業運営にまい進しています。
生成AI領域における取組も開始しており、無事1冊、SBクリエイティブ社より商業出版いたしました。
なぜ事業再生コンサルは事業運営力や経営力が身につかないのか
まず、多くの方がフワッと事業運営や経営という言葉を使用しています。
この質問も実はかなり抽象的な質問なのです。
そもそも事業運営力や経営力とは?
経営者のスキルという意味で一旦幅広く棚卸しましょう
ビジネスモデル構築力
- 市場のニーズをキャッチして、新しいビジネスの形を作り、それを動かす力
- 新しい事業の立ち上げや、既存事業をリニューアルする力
マーケティングスキル
- お客さんを集めて維持し、ブランドを作り、市場でのシェアを広げる戦略を考えて実行する力
- デジタルマーケティングやデータを使って効果的に集客する力
組織マネジメント力
- 人を採用・育て、組織として人々が連携するように仕向ける力
- ビジョンを示し、メンバーを導くリーダーシップ
財務管理能力
- 予算を立て、資金を集め、コストを管理し、投資の判断をする力
戦略的思考力
- 会社の未来を見据えて、競合や市場の変化を分析し、長期的な戦略を立てる力。
- リスクとチャンスを見極める力
意思決定力
- 先が見えない状況でも、素早く正しい決断を下す力
- データと直感をうまく使い分ける力
コミュニケーション能力
- 関係者と良好な関係を築き、効果的に情報を伝える力
- 社内外での調整をスムーズに行う力
イノベーション推進力
- 新しいアイデアや技術を取り入れ、ビジネスに革新をもたらす能力
- 変化を恐れず挑戦する精神
経営をしていく上ではさまざまな要素が存在します。
上記をすべてやれる経営者は相当な実力者ですが、現実問題上記をすべて社長が対応するのはキャパシティ的に難しいですし、基本的にすべてが得意な方はいません。
事業再生コンサルタントで身につくスキルと限界
では、事業再生コンサルタントとしての経験は、これらの経営者スキルのうちどれを身につけられるのでしょうか?
身につくスキル
- 財務管理能力
- 財務分析や資金繰り改善策の提案を通じて、深い財務知識と分析力が養われます。
特に財務DDを実施する中で、仕訳から粉飾を発見したり、資金繰表を含む財務4表のモデリングをしたりと、かなり実務で財務に触れるので自然と身につく能力です
- 財務分析や資金繰り改善策の提案を通じて、深い財務知識と分析力が養われます。
- 戦略的思考力(限定的)
- 再生計画の策定において、戦略立案のプロセスを経験しますが、それは主にコスト削減に主眼が置かれます。現場のコンサルタントも会計士などファイナンス特化の方が多いので、どうしてもビジネスグロースについては知見が薄い場合が多いのです。
- 再生計画の策定において、戦略立案のプロセスを経験しますが、それは主にコスト削減に主眼が置かれます。現場のコンサルタントも会計士などファイナンス特化の方が多いので、どうしてもビジネスグロースについては知見が薄い場合が多いのです。
- 問題解決能力
- 経営課題を抽出し、解決策を提案するスキルが磨かれます
なぜ業績不振に陥ったのか?なぜ?なぜ?を繰り返しながら、大量のデータを分析しつつロジカルに物事を進めていくので、ロジカルな問題解決スキルを見つけることが可能です
- 経営課題を抽出し、解決策を提案するスキルが磨かれます
- コミュニケーション能力(利害調整スキル)
- 再生局面においては、債権者の意向がとても強いです。バンクミーティングで債務者の状況と今後の計画について合意を目指すのですが、メインバンクを中心に根回しが必要です。
そういった炎上しないように利害関係者の調整をこなすのも再生コンサルで身につくスキルです - しかし、本来は事業提携のパートナーシップなど攻めの要素が経営には必要ですが、そういったスキルは身に付きません。
- 再生局面においては、債権者の意向がとても強いです。バンクミーティングで債務者の状況と今後の計画について合意を目指すのですが、メインバンクを中心に根回しが必要です。
身につきにくいスキル
- ビジネスモデル構築力
- 新規事業の立ち上げやビジネスモデルの設計は、再生業務ではあまり経験できません。再生の現場ではそもそも新規事業の立ち上げをするリソースもなければ、債権者は銀行であるため保守的な計画を好むからです。
- 新規事業の立ち上げやビジネスモデルの設計は、再生業務ではあまり経験できません。再生の現場ではそもそも新規事業の立ち上げをするリソースもなければ、債権者は銀行であるため保守的な計画を好むからです。
- マーケティングスキル
- 市場開拓やブランド戦略などの実践的なマーケティングは、再生業務の範囲外です。増収のために必要ではありますが、知見のあるメンバーがそもそもいないことが多いです
- 市場開拓やブランド戦略などの実践的なマーケティングは、再生業務の範囲外です。増収のために必要ではありますが、知見のあるメンバーがそもそもいないことが多いです
- 組織マネジメント力
- 組織改革の提案は行いますが、実際の人材マネジメントや組織文化の構築は経営者の役割です。
経営者が変わらない限りは組織も変化することが難しいです。実務では、退任し別の若手後継者がつくケースもありますが、コンサル側は当事者ではないので、経験することは難しいです
- 組織改革の提案は行いますが、実際の人材マネジメントや組織文化の構築は経営者の役割です。
- 意思決定力
- ビジネスの現場では答えがない状態でやるかやらないかを常に選択していく必要があります。再生コンサルの場合は選択するのは社長であり、痛みを負うのも社長のため意思決定において胃がキリキリ痛むという話は多くないです
どちらかというと、バンクミーティングの期限までに納得のいく結果が出せない場合などは、債権者からの信頼に関わるのでそちらはストレスです
- ビジネスの現場では答えがない状態でやるかやらないかを常に選択していく必要があります。再生コンサルの場合は選択するのは社長であり、痛みを負うのも社長のため意思決定において胃がキリキリ痛むという話は多くないです
- イノベーション推進力
- 再生局面ではリスクを避ける傾向が強く、大胆なイノベーションは求められません。






えー事業再生コンサルは事業も財務も見ることができる魅力的な仕事だって、転職エージェントの人が言ってたよ!






半分あっていますが、半分違いますね。
事業再生コンサルタントのネクストキャリア
結論様々なキャリアがあります。筆者が見る限りは
- BIG4FASや監査法人
- 事業会社のCFO室または経営企画室
- 再生コンサルファームを起業
- PEファンド
- 税理士法人
などが多かったです。






経営者を目指したい場合はどんな先に行くと良いですか?
実際に事業を運営する立場に立つ、つまり事業運営の主体になることが必要です。
規模の小さいスタートアップに転職し、経営企画系の仕事から事業開発などに染み出していくことがリアルだと思います。
または事業の主体になれるかどうかは別ですが、PEファンドもおすすめです。
ファンドは事業をグロースさせることが必要なので、プロ経営者を外部から招聘します。そこで事業グロースのプロと伴走し会社をバリューアップさせていくことで疑似的な経営感覚を身に付けることができるでしょう






私は事業会社のM&A部門にいくことで、グロース企業の買収戦略を役員陣と検討したり、多くの会社と面談を重ねることで事業グロースの勘所を磨いていきました
筆者は、現在スタートアップの代表としてまさに事業グロースをやっていますが、かなりギャップを感じています。
というのも、これをやれば伸びるはず!と思っていても実際にやってみると違うなんてことは日常茶飯事で、事業運営は本当にやってみないと分かりません。
また組織がとっても大事です。人が一人入るだけで急に売上高が伸びたりなどもざらにあります。
将来なりたいものがCOOなのかCFOなのかを考えよう
事業再生コンサルを極めることはどちらかというと、CFOキャリアを極める道だと思ってください
KPI管理や資金調達、財務法務などバックオフィスの管理、業務効率化のための改善活動
上記はCFOロールです。そして大事な役割が、CEOやCOOの事業サイドの人間が、暴走しないようにしっかりと守りとしても機能することです。
ダメなことはダメという力がCFOには必要です
COOはCFOとはまったく違った領域をやります。
CEOのかかげる未来を達成するために、やるべきことを執行していく責任者です。
CEOが兼任しているケースもあります。
売上高をあげていくことがミッションなので、事業開発、言ってみればビジネスモデルの構築や、集客、事業提携を含む営業、採用など必要なリソースの確保
これらをゴリゴリやっていきます。
あなたはどちらになりたいですか?
私はCOO寄りで実際に自分で事業を開発、運営、成長までもっていくことが楽しそうだなと思い、実際にスタートアップをやっています。
事業再生コンサルについて解像度を高めたい方・キャリアの壁打ちをしたい方
- 事業再生コンサルで大変だったこと
- 具体的な業務内容はどんなことをするのか
- 働き方を詳しく聞きたい
- 次のキャリアでどんなことを活かせるのか?
もし上記のような疑問を抱えていて、経験者に話を聞きたいという方は下記から面談の調整をお願いします!
\面談者の声/
お世話になっております。
お陰様で、希望していた事業再生コンサルから内定を頂き、転職を決めました。
色々とご相談させて頂きありがとうございました!
入社前の準備も含め、また別途面談のご依頼させて頂くこともあるかと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。
取り急ぎ、ご報告でした。
(ご返信には及びません!)
ありがとうございました。
Hさん
昨日はお忙しい中お時間頂きましてありがとうございました。
実際に再生コンサルをされている方の生の声を聞くことができて大変勉強になりました。
定期的にこういった形でお話し出来ればと思いますので、引き続き宜しくお願い致します。
Kさん
また私が再生コンサルで得た今でも重宝しているスキルとして、財務モデリングスキルがあります
デッド調達を自分でする際にも事業計画をサクッと作れますし、スキルを活用して資金調達支援などもやっております。
ぜひ再生コンサルに行きたい方は財務モデリングスキルを身に付けてほしいところです。
ただし、再生コンサルに入る前にせめて基礎は身に付けておくことをお勧めします。なぜなら、あまりにもできないと、しばらくは数字を触ることを任せてもらえません。
再生コンサルタントが最も成長する瞬間は、数字を任されたときです。
事業計画作成(プロジェクション)を任されると、様々な数字が集まりますし、分析をします。数字に一番詳しくなるので、上司との議論ももっともする人間になります。
仮説は数字から考えることが多いので、仮説構築をする機会も増えます。
なので、再生コンサルでは、エクセルと財務モデリングができることが大変重要なのです。
下記にて財務モデリングを学ぶ方法を紹介しています。ぜひご覧ください!








事業再生に関する本は沢山ありますが、意外と実務の生々しい話ってあまり見かけないですよね?
私は元銀行員や事業再生コンサルに興味のある方、その他このサイトに到達された方に縁を感じております
皆さんとぜひリアルにつながっていきたいので、ぜひLINE登録お願いいたします!






そのうち皆さんで情報交換する会など企画します!
今なら有料級の特典を無料でプレゼントしています!
他にも事業再生コンサルタントに関する記事を書いているので、ぜひご覧くださいませ!



